ボディソープを少しだけ「いいもの」に変えた。

500mlで3,000円。ドラッグストアに売っているボディソープが500mlあたり800円くらいだから確かに安くはないけれど、無理のない範囲の「いいもの」だと思う。

香りがすごく素敵で贅沢な気持ちになるし、洗った後、肌がしっとりとして喜んでいるのがわかる。

おかげで毎日のお風呂の時間がとても楽しみになって、夜がくるたびにわくわくする。

 

言わずもがな、ボディソープなんて誰に見せるものでもないし完全な自己満だ。

使っている最中の香りはいいけれど、日中に会った人にまで届くレベルじゃない。(それだとむしろ臭くてヤバい)

だからこそ「周りが理解するとかしないとかそういう次元の話じゃなく自分がしたいからする」っていう、かなり有意義なお金の使い方をしたと思っている。

 

 

そのボディソープは昔 ―― 3年くらい前に使っていた。

新卒で入社したアパレルメーカーを退職し、小さい頃からの夢だったフリーライターとして活動し始めた私は、頭のなかがとにかく賑やかだった。

明日は朝9時半に五反田駅に着かなくていいし、申し訳なさそうにしなくても仕事が終われば飲みに行ける。

来月や再来月のお給料は不安定だったけれど、ありあまった自分の時間を何に使うかワクワクしていた。

 

給料日の翌日まる1日を費やして美容室やネイルサロン、エステなどに通っていた「自分の日」が廃止されるのも、同じ頃だった。

ボディソープも何となく使わなくなり、化粧水と同じく近所のドラッグストアで買えるものに入れ替わった。

これを「忙しい」とか「自分がおろそかになっている」という場合もあるかもしれないけれど、当時の私は仕事が何よりも楽しくて、とくに問題視していなかった。

 

こんな風に、気がつかないうちに大切なものができて、だんだんと時間の使い方は変化するのだろう。

変化の理由は進学や就職、引っ越し、妊娠、出産などいろいろあって、悪いことでもない。

ただ、今回はボディソープをきっかけに自分に時間を使っていたときの生活を思いだした。

 

 

ボディソープを買い替えることにしたのは、友達との待ち合わせ前に少しだけ時間の余裕があったから。

今までは少しでも時間があまったらカフェに入って仕事をしていたのだけれど、その時は数年ぶりにウインドウショッピングをしていた。

とくに必要なものはなかったから、綺麗につくられた店先のディスプレイを見て、試着をして、綺麗なものをたくさん見て。

たまたま通りすがったのがSABONのお店で、笑顔の素敵なお姉さんがボディソープの新しい香りが入ったと教えてくれたのだ。

 

お姉さんに言われるがまま試してみると(SABONのような専門店では空いていれば商品を使わせてもらえる)肌は明らかに白く明るくなっていた。

そのお姉さんはとても色白で、まるで牡丹桜のようにふんわりと笑う素敵な方だったのだけれど、息子さんや旦那さんにも自社の商品をおすすめして一緒に使っているらしい。

綺麗な自分の肌をまじまじと見るのは久しぶりな気がして、すごく嬉しくなった。

 

がんばりたいことがあって、そのために自分にお金や時間を使わなくなるタイミングは誰しもある。

それぞれ色んなタイミングでお金や時間を費やす対象が変わるんじゃないだろうか。

それはそれで素敵なことだけど、もしまた「自分に使いたい」と思ったときは懐かしいものを手にとってみてもいいのだと思った。

「自分を大切にしたい」という気持ちはいつでも素敵なもので、ちょっとの贅沢でとてつもなく満たされる場合もあるから。

 

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中馬 さりの

GALLERIA EDITOR
1992年、東京生まれ。文化女子大学にて服装学部にてファッションビジネスを専攻しながら、アパレル販売員とハイブランドの査定スタッフを経験。 卒業後はアパレルメーカーで広報を担当。2016年からフリーライターとして執筆業を開始。多数のメディアへ寄稿をする。 いまは大阪と東京の二拠点生活を満喫中。好きなものは夜ふかしと旅とお洋服。